メンタル研究の一環として、トラウマを抱えたまま潜る決心をした朝。
決心した時刻から2時間以内に準備して約束の現場に行く必要がありました。
この「時間的余裕のなさ」がまた自分に逃げるスキを与えずに、良かったのかもしれません。
現場まで赴く約1時間の道中、ワタシのココロは「緊張」と「好奇心」とが占めていました。
Index
集合場所と船上でダイビングのレクチャー
集合場所でマニュアルを渡され、基本的なダイビングの方法についてレクチャーを受け、その後は船上に移動して15分〜20分くらい器材についての説明を受けました。
インストラクターの皆さんの説明はいずれもわかりやすく、とてもとても丁寧にレクチャーしてくださいました。
実際器材を使用しながら、生まれて初めて「ボンベ」から空気を吸い、実際やってみると
「あ、思ったより簡単かも?」
とレギュレーターをくわえつつ思ったものです。
泳げなくても全然大丈夫なこと。むしろ泳げない人のほうがダイビングにはハマる!ということなどを色々力説してくださいました。
話を聞くと「10歳くらいの子どもでもできる」ということ…。
「子どもでもできるんなら大丈夫かな?」と思った自分が甘かったです(笑)。
ダイビングポイントへ行くまでの6〜7分、インストラクターさんの「VIVA!海中!沖縄の海は竜宮城さながら!」的な話を聞き、期待と不安五分五分で胸を膨らませていたのでした。
- 浮上したい(Thumb UPサイン)
- 了解(OKサイン)
- 耳抜きしたい(耳を刺すサイン)
などごくごく基本のハンドサインを船上で教わりました。
ダイビングポイント到着後、いきなり「どぼん」!
ダイビングポイント到着後、一人一人重りと器材を装着させられいきなり海に放り込まれました(笑)。
ライオンの子供かっ(笑)!!
投下されたポイントは足なんて全く届かない!ライフベストで浮いてはいるもののまず、この段階でテンパりました(笑)!
怖いっ!めっちゃ怖い!死ぬ!!!!(´;ω;`)!!!って思いました。
でもインストラクターさんが矢継ぎ早に指示をしてきます。
- まずは顔をつけてみてー
- 頭潜ってみてー
- 力抜いてー
- 深呼吸してー
非常に申し訳ないのですが全部「無理っ!」ってな感じで船体についてるロープにしがみつきながら2〜3分恐怖に震えてました(笑)。
顔をつけて、呼吸をしてみたんですが「がばっ!」っと海上に顔を挙げて、とっさにマスクとレギュレータを外してしまったのです。
「苦しいっ!死ぬっ!(´;ω;`)!!!ぜーはーぜーはー!」
って感じです。実際はレギュレータ越しに海中でも呼吸できてるんですけどね(笑)。
一体何が怖いのか?
完全にテンパってる最中、インストラクターさんが聞いてきました。
「落ち着いてー。何が怖いですか?」と。
ここで少し我に返り分析が始まります、「なんで怖いんだろ?(´・ω・`)」と。
「息が苦しい(´;ω;`)!!!」と答えると
「落ち着いてー。息できてますよー。ほら、頭潜って〜口から吸って〜口から吐いて〜」というインストラクターさんの適確な指示が…
鼻から空気吸いたいんじゃい!ぼけぇーーー(# ゚Д゚)!
と、あやうく絶叫するところでした。
でも、気を取り直してワンスモア。最大限の勇気を振り絞って潜ってみます。
「大丈夫。自分は今鼻呼吸が禁じられたダースベーダーなんだ。すーはー。しゅこー。」
「大丈夫。自分は今鼻呼吸が禁じられたダースベーダーなんだ。すーはー。しゅこー。」
「大丈夫。自分は今鼻呼吸が禁じられたダースベーダーなんだ。すーはー。しゅこー。」
「大丈夫。自分は今鼻呼吸が禁じられたダースベーダーなんだ。すーはー。しゅこー。」
とやっているうちに次第に落ち着きを取り戻し潜ることができるようになりました。
どぼん!と潜った時の脳内分析
これは陸に上がってしばらくしてから考えたことなんですが、一瞬どぼんと潜って「怖い!」と感じたのはやはり、「ヒトの生存本能として感じた恐怖」だったのではないか思ってます。
ダイビングの器材が発達したのなんてほんのここ数十年の話。
「水中に沈む=死に至る」という記憶はヒトのカラダ60兆個以上の細胞一つ一つに深く深く刻まれているのではないかと。
おそらく右脳が感じた
- 体中にまとわりつく水の感覚や水圧、水の抵抗力
- 自分の呼気から出るボコボコという空気の音
- 見上げた水面のキラキラした光の反射
- 足元や身体の位置が確定しない不安定な感覚
などを「我が身のキケン」と判断したのかもしれません。
頭の中では警鐘が鳴り響きます。
「死ぬぞ!お前このままだと確実に死ぬぞ!」と。
その右脳のSOS発信を左脳がキャッチし、左脳は左脳で、それは瞬時に「悲劇的な妄想物語」を論理的に組み立てるのです。
右脳が感じた感覚をもとに、リアルなストーリーを創って時系列に組み立てて感情をつけたし流す。
- パニック→器材が外れ窒息→溺死
- 器材の故障→パニック→窒息→溺死
- インストラクターの視界から自分が外れ→遭難・パニック→窒息→溺死
- 幸い溺死は免れても救急搬送→脳死あるいは植物状態→一生病院のベッドに…。
自分でも賞賛に値するのですが(笑)、全ては左脳が創り上げた「IF(もしも)」の話。
パニックに陥っている瞬間にワタシは上記4パターンもの悲劇を本当に瞬時に創り上げ、そこから逃れようと必死にもがいていたのです。
恐怖とひたすら向きあう
あらかじめ「潜る予定は30〜40分」と告げられていました。
テンパっていたので正確な時間は全くわかりませんが(笑)、おそらく最初の10分程度は潜るのに必死だったと思います。
潜れるようになった残り20〜30分間も気を許すと「恐怖心」がムクムクと湧き上がり、そのつどパニック寸前にまで追いやられます。
実際、「ほんっともうムリッ(´;ω;`)!陸にー!陸に上がりたいー!鼻から空気をーーー_(´ཀ`」 ∠)_!」
ってなった瞬間が2〜3回あったので、インストラクターさんにハンドサイン(Thumb UP)で伝えたんですが…。
ガン無視されました(笑)。
インストラクターさんは顔色も頻繁に確認してくださっていたので、おそらく彼なりの「愛のムチ」だったのでしょうw。
生きるために冷静に自己暗示。でないとマジ死ぬかもしんない。
インストラクターさんは途中で切り上げて浮上してくれないらしい、ということがわかったので、もう自分でなんとかするしかありません…。
「大丈夫。自分は今鼻呼吸が禁じられたダースベーダーなんだ。すーはー。しゅこー。」
「大丈夫。自分は今鼻呼吸が禁じられたダースベーダーなんだ。すーはー。しゅこー。」
「大丈夫。自分は今鼻呼吸が禁じられたダースベーダーなんだ。すーはー。しゅこー。」
の繰り返し(笑)。おかげさまで、周りの景色はほぼ堪能できずじまいでした(笑)。
まぁキレイだったよ、非日常的景色…。でもね、ゴメン。いかんせん楽しむ余裕がゼロ。皆無。
途中、魚に手から直接エサを与えるとかいうイベントもあったんですが、あんまり覚えてません…w。
実際、インストラクターさんが写真を撮ってくださってたんですが、全てのシーンにおいて「真顔」(笑)。
目が全くもって笑ってない。怖いw。
生まれて初めて潜ってみて思ったこと。
大げさかもしれませんが、「生死の境」を疑似体験できた気がしました。
あんまりないと思うんです。健康なヒトがそんなシチュエーションに遭遇する機会は…。
そして、本当に必死だったので潜っている間は「自分の思考をリアルにコントロール」できた気がします。
今後、機会があるのなら何度も何度も潜っていくうちに
- 自分のダイビング技術&経験に対する信頼
- ダイビング器材自体に対する信頼
などが芽生え、「水中に潜る行為≠生命のキケン」が確信に変わるのだと思います。
そうなってはじめて海中の美しい景色が楽しめるようになるのかなー、と思いました。
なので、最終的に「潜ってみて良かった」と思ってます。
「もう一回潜るか?」と問われれば、またどーしようかかなり悩むと思いますけど(笑)。