もはや自力で立ち上がれなくなってしまった母。さしあたってトイレまで歩行補助具を使って自力で行けるように、家具を移動したりしてルートの障害物を取り除き広めの動線を確保した。
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急遽役所に赴き「介護保険」の申請
木曜日の母の転倒を受けて、急遽金曜日に役所に赴き「介護保険」の利用申請を行うことにした。急激にガガガと状態が悪くなっているので正直介護認定がどの程度のものになるのか不安だった。
介護の仕事に携わっている義兄から、「転倒などのエピソードは詳細をしっかり伝えたほうが良い」と助言をいただいていたので市の職員に詳細を伝えた。
そのおかげか、市の職員さんが相談員とのスケジュール調整を急いでくださり、翌週明け一番に面談の予定を確保できた。介護保険課の職員の方、本当にありがとうございました。
最後の誕生日
この日は母の誕生日で「今の体で着れる」花柄のワンピース2枚と花束をプレゼントした。前開きファスナーのワンピースで最期の最期までヘビロテの2枚となった。
ちょうど最後の歯科受診もあって、新しいワンピースで身支度を整えてくれていた。
最後の歯科受診
最後の歯科受診の日。車から降りてエレベーターに乗って受付をして診察台に上がる。伝い歩きで一連の動作は可能だった。
歯科はちょうどこの日が終診で、最後の治療を終えた母はタスクを一つ終えたような清々しい表情をしていた。
自宅へ入る際、「車から降りて門までの2段の階段、玄関のドアまでの2段の階段、タタキから1段上がる」という一連の動作がもはや非常に困難で、またもやへたり込んでしまい、家族3人がかりで抱えながらなんとか自宅に転がり込んだ。
2日立て続けに転倒しそうになったこと、1週間前は普通にできていたことが全くできなくなってしまったことに対して母はかなりショックを受けたようで、玄関でへたり込んだまま20分近く動けなくなってしまっていた。
日常の何気ない動作が、こんなにも急激に難しくなってしまうのか。自分の体が自分でコントロールできなくなってしまったことに激しく落胆していたようだ。
そして、またこの頃からまた閉尿の症状が再発し始めていた。
ナルサスの増量開始4mg→6mg
2日前の外来受診で、ナルサスが4mgから6mgへと増量指示があったが、6mgを服用し始めていきなり母はこんこんと眠るようになってしまった。
いびきをかいてひたすら眠っているが、このままあちらの世界に行ってしまうのではないか?と不安になり、時々生存確認(笑)。
結局1日のうち父が1回強制的に起こし、夜薬を飲ますのに1回起こしただけで丸24時間トイレに行くこともなくこんこんと眠り続けた。
主治医の先生は「ナルサスは24mgまで増量できるよー!だから心配しないでちゃんと飲んで!」とおっしゃっていたが(笑)6mgでこんな眠り病になってしまって、24mgも飲んだらどうなってしまうんやろか((((;゚Д゚))))!と思った。
ついに現れたせん妄?
ナルサス6mgを服用してから約12時間後、薬を飲ませるのに強制的に起こした際、せん妄のような状態が母に発言した。
- ベッドの枕元に線?のようなものが見えていて、それをひたすら払う仕草をする。
- 唐突に「ぐるっと回ってここまで来たね…。」とつぶやく。(誰が((((;゚Д゚))))? 脈絡なし)
- 照明のリモコンを20回くらい付けたり消したりして、電気がついたら頷く。
- ハンドタオルを飲み物の飲み口(ジュレの飲み口)と間違えて吸おうとする。
など、文字に書き出したら笑ってしまうような行動だが、真顔でやられるとおそらくこわい…。そばについていた姉は流石に怖かったと思う。
姉にとってトラウマにもなりかねないので「酔っぱらいだと思ってあまり気になさらず」と伝えておいた。
しばらく経つと、意識がしっかりしてきたようで声にチカラはないものの、きちんと受け答えができるようになった。やはり薬の影響か?
明らかに母の状態は先週から格段に悪くなっていた。
何かを感じているのか?介助犬!
母がせん妄をおこした日から、いつもは母のベッド下に常駐していた愛犬が部屋に入ってこなくなり、彼女は部屋の出入り口から遠巻きに母を見るようになった。いったいぜんたいどーいうことだ!?
犬はふと、時々玄関や勝手口に小走りに向かっていき、何かをじーっと見つめたあとまた戻ってくることを何回か繰り返していた。なんかコワイ((((;゚Д゚))))。ワンコよ、キミには何かが見えているの?
これがウワサの「手鏡現象」!?
いろいろ人間の死期についてぐぐっていたら、「手鏡現象」なるものが出てきた。
「手鏡現象」とは、死期が近い人間に出てくる行動の一つで、手鏡を見るように自分の手のひらや手の甲を繰り返し見つめる行為なのだそうだ。
都市伝説的な何かなのか知らないが、この時期の母は自分の手のひらや手の甲をじーっと見ていることが多かった。
それ以外は茫洋とした目で空(くう)を見つめて、こちらが何かを話しかけるとワンテンポ遅れて力なく笑うか、答えともつかないような反応を返すだけで、自分の口から何かを発することはほとんどなくなっていた。
この時の母はもう自分の肉体の境界があいまいになっていたのではないだろうか?
自分の手のひらが自分のものであることを確認しているかのように何度も手を見返している母を見てなんとなくそう思った。
血の巡りが悪くなってる。
こんこんと眠った翌朝、ベッドから落ちて垂れていた右足のゆびの付け根がアザみたいな紫色になっていた。
姉が驚き足をあげて少し動かしてみたら、無事色は戻ったようで一安心したが、もう全身の血液のめぐりがかなり悪くなっているのが伺えた。
かったるそうに身支度をして、自力ですこし雑炊を食べることはできた。
ナルサス6mgを飲んでから丸1日眠気に抗えなかったこと、おそらく幻覚を見たことで本人も怖くなったらしく、毎朝飲んでいたナルサスを「飲まない。痛みもないからいい」と言ってきた。
雑炊ももう4〜5口が精一杯な感じで、その日の朝はすべての薬を飲まなかった。
薬の影響がまだ抜けきってなかったようで「(ストーマの)絆創膏替える?」という姉の質問に対し、母は「みんな危ないものばっかり」という意味不明な回答をしていたので、訪問看護ステーションのナースに電話連絡を入れた。昼空き時間にストーマケアも兼ねて、様子を見に来てくれるということだった。
昨日眠りすぎたのがよほど疲れたのか、その日は無表情のままベッドに座って1日を過ごした。
犬は再び母のベッド下で見守り任務に就いていた。
訪問看護師さんは手際良く母のケアをしながら、「ナルサス、急にやめちゃうのあんまり良くないねぇ。砕いて1錠の8割量くらいは飲んでもらいましょうか。」と母に薬を服用させた。
一応看護師さんに対しては少し愛想よく素直に薬も飲んだので(外面が良い(笑))少しほっとした。
今後、訪問看護師さんや往診のドクターなど自宅に来客が増えるので、実家の大断捨離も合わせて行うことにした。
というわけで、内地に嫁いでいた強力な助っ人(←片付けの達人「姉3」)を召喚した(笑)。